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Bリーグのマーケティングがとても上手だった件 [これはいいね]

都内某所でBリーグのえらい人(以下、えらい人)の講演を聞く機会があり、そのマーケティング戦略の巧みさにほほぅ!となったので、そのことをメモがわりにこっそりつぶやいたつもりがたくさんの方に拡散していただいてなんだかもう……お騒がせいたしました m(_ _)m 有言実行ということでこっそりブログにメモっておきます。

前提として、今回のお話はデジタルマーケの分野です。わたくし、こんな文字だらけのブログでつい最近までSNSボタンすら設置しなかったというアナログ人間……と見せかけて、実はデジタルマーケ、デジタルコミュニケーションの分野がバレーの次の次のとなり近所、ぐらいには好きだったりするのですね。というわけで話がマニアックになったらごめんなさい。

Bリーグが開幕したのは2016年9月。良くも悪くも悪くも悪くもバレー御用達メディアだったフジがまさかの開幕戦ゲットで、キラーコンテンツ『サザエさん』まで動員してプロモーションしたことは(私の)記憶に新しいところです。サザエさんがいきなりママさんバスケを始める展開は、無理に無理を重ねる『サザエさん』のなかでも無理やりな展開だったかと。ただ、「ママさんと言えばバレーでしょ!」とはもう言えない時代なのですね。

そんな後押しまで受けて開幕ダッシュを決めたこの団体、ご承知のようについせんだってまでは分裂して内ゲバを繰り返してました。しまいには国際連盟に「ちゃんとせんと五輪に出さへんよ!」なんて怒られ、仕方がないからJリーグの川淵さんがでばってきて整理整頓したのでした。えらい人いわく「外圧とカリスマによる奇跡」が起きてBリーグ開幕にこぎつけたのだとか。

ちなみに、とっくにすっかりお忘れかとは思いますが、日本バスケットボール協会の会長さんはあの三屋裕子さんです。えらい人の話の中には1回も登場しませんでした。

それはさておき。
Bリーグはなんと全国45チーム(下部リーグ含む)でスタート。Jリーグが25年かけて53チームだそうで、ものすごいスタートダッシュです。

市場規模は、従来リーグの興収3億~5億円/年(バレーとほぼ同じ)の10倍、50億円/年を見込んでいて、2020年までには100億円/年に引き上げると。さらに、なる早で大目標の250億円/年の達成、および1億円プレイヤーの誕生をめざしているのだとか。算数ができない私の単純計算だと、100億円/年に達した時点で、1000万円プレイヤーは当たり前になるはず。夢がありますねー。

この夢をがっちり後押ししているスポンサーがソフトバンクです。報道では4年契約で120億円出資と出てました。そんな大型投資をどうやって引き出したか。決め手になったデータは「観戦意向者層」の分析だったのだとか。要するに、バスケをナマで観たいよ!と思ってる層ですね。

市場調査の結果、ナマで観たい人たちが10代~30代を中心に700万人もいることがわかったそうで。だったらあとはやりようでしょ、ということでソンさんがポンとハンコをついたんでしょうね。

この700万人にどうやってチケットを買ってもらうか。モノを売るためにはお客さんのことをよく知ることが近道です。というわけでえらい人、観戦意向者層のペルソナを調べました。いわく、「誰かと一緒に観に行きたい人、出かけることが好きな人、主にスマホと雑誌から情報を得ている人、情報を発信・シェアしたい人」という姿が浮かんできたのですね。はい、わかりました。だったらデジタルマーケの出番ですね、ってことなんです。

バレーもそうですが、一般的に競技団体の興収源は4つ=チケット販売、放映権料、スポンサーの出資、グッズ販売です。スポーツ界はこのへんの整理整頓が遅れに遅れていていまだに昭和なんですね。

例えばバレーの場合、Vリーグのチケットは機構の直販・チームの直販・代理販売などが混在。企業が座席をおさえてしまって売り切れなのに空席、観たい人がツイッターでチケットを探しまくる、なんてこともざら。グッズ販売にいたってはちゃんと黒字にできてるんだろうか……という始末です。これらはすべて”機会ロス”=もうけそこない、につながります。

で、Bリーグはここをちゃんとしました。チケットはウェブ直販に集約してコスト削減。放送は観戦意向者層と親和性が高いネット中継で放映権料を節約。スポンサーに依存せず、顧客管理システムの統合による収益の最大化をはかり、物販はe-コマースで、という感じ。

↑ドメドメじゃない企業の戦士たちにとってはえ?いまさら???なんてことだと思いますが、少なくともスポーツ界ではここまできちんと=戦略的に進めている団体はほとんどないと思います。

特に、顧客管理システムの統合、ってのがすごい。リーグと各チームのデータベースをすべて統合し、チケットを購入した人をリターゲティングできるようにしたのだとか。リタゲって例えば、ネットで住宅販売の広告をクリックすると次にブラウザを立ち上げたときに広告表示が最初から住宅販売になってたりしますね。あれです。

そのリタゲも徹底していて、例えば顧客ごとにバスケIDを発行してそれをデジタル・マネジメント・プラットフォーム(DMP)にぶちこみ、バスケを越えた”健康づくり”ってなテーマでさまざまな角度からアプローチ。最終的に”バスケファミリー”としてサポートしていく体制を整えるのだとか。究極の囲い込み戦略です。

DMPって2016年半ばごろにやっと「いまさら聞けないDMP」的な記事が出始めたぐらい、つい最近まで”よくわからない箱”だったんですね。1年ほど前かな、さわやかな黒めの飲み物を売ってる大きな会社のデジタルってる人が「DMPを導入して成功したという事例はほとんど聞かない。みんな『どう使えばいいのかわからない』って言ってる」なんて話してました。

ところがBリーグ、バスケファミリーの健康をサポート!ってな大きな絵(=戦略)を描いて、それを実現させるためのいろいろな戦術の中心にDMPを置き、効率よく実行していっているのですね。単に、デジタルマーケ、統計、データ分析に強いというだけでなく、戦略→戦術→実行の落とし込み方が上手です。

実はこの落とし込み方にもコツがあったようです。一般的には、データ分析をする場合、現場が数字をシコシコ集めてプレゼン資料を作り、そんな仕事をしたことがない役員たちにご説明申し上げて頓珍漢な質問をされ、もやっ……としたままなんとなく決定にいたる、ということが多いと思うのですね(偏見)。

一方、Bリーグは、経営層が明確なビジョンを示し、それをもとに仮説を立て、その検証・分析にデータを活用する手法だそうです。非常に効率的。現場が世界の果てまで行って数字を集めてくる必要はなく、仮説が正しいか間違っているかが明らかになるデータを提供すればいいわけなので。そうやって取捨選択を繰り返して”正しい”もので固めていくという。

この方法、デジタル周りの仕事をしている人にとっては「息を吸ったらはく」ぐらいに当たり前のことだと思いますが、なかなか浸透しない。理由は簡単、経営層にビジョンがなかったり、論理的に仮説を立てる能力がなかったりするからですね。

バスケ界だってそんな人材がいなかったからサッカーとか野球とかから人をひっぱってきたわけで、デジタルと統計の両方がわかる人材(特にデータサイエンティスト)はいまや、Googleやfacebookが囲い込んで手放さないほどのレアキャラなのです。

そんなBリーグがいま力を入れているのは、常連さん(既存顧客)に新人さん(観戦意向者)を誘ってもらうこと。ありがち、ですよね。誰でも思いつく方法です。ただ、Bリーグは漠然と思いついたのではないのですね、ライト層(会場に1~2回きたことがある層)に直接面談方式で聞き取りをして、なんで会場に来ようと思ったのかを突き詰めたのです。その結果、ほとんどの人のきっかけが「誘われたから」だったのだとか。

単なる思いつきか、根拠が見えているか。たとえ同じ答えにたどりついたとしても、この違いはめちゃめちゃでかいです。単なる思いつきはいずれ、別の人の単なる思いつきにぶちあたってブレまくる宿命を背負ってますから。

その点、Bリーグは市場調査の手法で科学的に答えにたどりついたので、常連さんに新人さんを誘ってもらおう!→そのためには常連さんにどんな道具をわたせばいいのかな?とすんなり展開していけるわけですよ。

さらに、観たらやってみたくなるのが人情、ということで、観戦者=競技者(趣味の草バスケから本格チームまで)となる施策を打っていくのだとか。←これ、バスケはサッカーの次ぐらいに有利ですね。空き地にゴールポストを1つ設置すれば”競技者”を増やせるわけですから。

バレーをやりたい人はものすごく多い。ひいき目なしで、経験者かどうかにかかわらず老若男女問わずほんとに多いと思いますが、特にインドアは物理的に難しい。バレー界の知恵の出しどころですね。

などなど、えらい人のこまかいジマンも含めてもうちょっと話があったのですが疲れたのでこのへんでやめます。それにしても夢のある話。聞きながらいちいち「バレーだったら、これはこうで、あれはああで……」と考えてしまいました。冷ややかに見ていたバレーのプロ化構想にがぜん興味がわいてきたり(笑)

川淵さんはかつて、「バスケのあと行くとしたら?」という報道からの質問に「バレーも選択肢の1つ」と答えていたことがありますが、はたして……いや、そんな「外圧とカリスマによる奇跡」じゃなくてさ、大胆な世代交代と権限委譲で自分たちの力で変わろうよ。ぐだぐだしてるとバスケに若年層をぜんぶ持っていかれてしまうよ。

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aiiin

初めまして。女子バレーをもっぱら見ております。男子バレーに関しては、NEXT4は知っています。あと、ガイチ監督の不倫騒動やら交通事故を知っている程度です。あと、植田監督の大の字とか、まあそんなもんです。

さて、バスケのプロ化について、非常に興味深く拝読しました。現代のマーケティング技術はすごいものですね。しかも、ビジネスの世界では常識のレベルだとか。もうワタシなどついていけませんです。

そのことは認めつつも、一方で、ずいぶん大風呂敷を広げたなという思いをぬぐえないのです。2020年までに日本人のNBA選手を5人輩出、年商100億円、1億円プレーヤー誕生とかって現実味のあるお話なのでしょうか。

サザエさんまで動員して、bリーグ開幕戦を地上波放送! でも視聴率は5パーセント程度だったとか。これって普通に失敗ではないでしょうか。さらにbリーグになって観客数が30%増加したそうですが、正直その程度?と思いました。ご祝儀相場でその程度で大丈夫でしょうか。観客数=興行収入ではありませんが、5億円の興行収入が毎年30%増加したとして、100億円に到達するのは何年先なのでしょうか。

はっきり言って、最大の成功はソフトバンクから120億円の金を引っ張ってきたことだと思います。興行収入100億円ってこのことを言っているのでしょうか。(そんなわけはない)

by aiiin (2017-01-19 19:59) 

rio

>aiiinさん、コメントありがとうございます。

大風呂敷かどうかを判断する材料を私は持っていません。ただ、Bリーグは興行成績などを積極的に開示しているようですので、それらをもとに検算すれば客観性が出てくるかなと思います。

NBA選手がでるかどうかは相手次第のところもありますし、1億円プレイヤーの誕生も値する選手がいるかどうかというところがありますが、2020年までに100億円に関しては、根拠があるからこそソフトバンクが4年契約で出資したのかなと思います。

開幕戦の視聴率が5%だったから失敗、という論調をネット上でよく見かけますが、それはちょっとバランスを欠いているのではないかと感じます。

スポーツの視聴率は一部の国際試合を除いて全般的に下がっています。巨人戦でも7~8%をうろうろしていることが当たり前で、ほかのスポーツはそこより低いラインです。

その理由についてはよく、若年層のテレビ離れが上げられます。では彼らが試合を見ていないのかというとそうではなく、ネットで見ていたりします。視聴率に反映されていない視聴者ですね。

また、視聴率は広告媒体としての価値をはかる1つの指標でしかないですが、ネタになりやすいためにマスコミがそればかり取り上げるので、絶対的な人気投票の結果のように受け止められてしまうことがあります。

例えば巨人戦では、視聴率7~8%あたりを維持していても観客動員数は過去最低だったそうです。一方、バスケの開幕戦は5%台にとどまりましたが、観客動員は伸びている。特に開幕戦の放映直後から数時間で、チケット販売が200%増になったのだとか。

こうした背景には、NBAのマーケの成功があるそうです。NBAにはマーケ全般を請け負っている少数精鋭のチームがあり、アメリカの4大スポーツの中でも唯一、実績をあげているのだとか。Bリーグはそこに出向いていろいろ教えてもらっているようなのです。

こうしたことも含めて”大風呂敷”、イメージ先行かもしれません。ただ、夢を売る商売でブランドイメージは重要です。Bリーグは成功している、しかもマーケがしっかりしている。そんなイメージが広まればスポンサーがつきやすく、ブランド価値も高まりやすいでしょう。

DMPやモバイル戦略などハード面の施策だけでなく、こうしたソフトパワーの活用がうまいところも面白いなと思ってます。
by rio (2017-01-20 02:58) 

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