<ヒマネタ>全日本女子が北京五輪にいける理由 [バレーボール]
ペルー戦の観戦記を読み歩いているうち、全日本女子が北京五輪にいけるかどうかという記事をあちこちでみかけたので一言。結論から言うと、個人的には99.9%いけると思っています。まあ、多くのバレーファンの方もそう思っておられるでしょうが、ご存知ない方のために。
五輪出場資格を得られるのは次のとおり。
1、開催国
2、W杯3位以上
3、ヨーロッパ、アジア・オセアニア、北中米、南米、アフリカの5大陸予選の優勝国
4、上記以外の国で戦う世界最終予選の優勝国
ここまでは、別に何の問題もない10チームですね。合計12チームなので、あとはどうやって選ぶのでしょうか。
ここからがカラクリなのです(以下は女子について)。
実は、3のアジア・オセアニアの予選だけは4の世界最終予選と合体し、総当りリーグで、日本で単独開催されることになっているのです。そのため、世界最終予選では、
a、優勝国
b、アジア・オセアニアから出場した国のうちの最上位国
c、上記2国を除いたうちで、上位の2国(←これが最終切符)。aとbがかぶった場合は、残りから3国が選ばれる
という規定になっているのです。
よくこんな方法を考え付いたもんだと思いますが、これは日本(だけじゃなく、アジア・オセアニア地域)に極めて有利な規定なのです。端的に言えば、世界最終予選で4位以内に入れば自動的に五輪に出場できるからです。一方で、同じ大会で戦っているはずの他の地域は3枠しかなく、しかもそのうちの1枠は優勝が絶対条件なのです。
2004年のアテネ五輪最終予選では、ロシアとイタリアが漏れてきましたが、中国はW杯で切符を取っていたため不参加。つまり、日本にとってはこの2国と韓国だけが実質上のライバルで、そこで3敗しても他の格下相手に順当勝ちすればいいという条件だったのです(実際に、大会終了前に出場権を獲得)。
今回の状況は2004年と非常によく似ています。中国が五輪開催国のため、W杯にもアジア・オセアニア予選にも不参加。この時点で、”ライバル”の韓国、タイ、台湾、カザフスタンとのレベル差を考えれば、日本の出場は”アジア・オセアニア1位”としてほぼ決まりです。
また、今回のW杯が下馬評どおりに行けば、アメリカ、イタリア、ブラジル、キューバのうち3カ国が切符を取るでしょう。これらの国は各大陸でもトップレベルですから、W杯で漏れたとしても大陸予選で取る可能性が高い。
唯一、めんどくさい状況なのは、イタリアが弾かれた場合です。強豪ひしめくヨーロッパは、まだロシアを抱えていますね。ロシア、イタリア、セルビア、ポーランド、オランダ、フランス、ドイツあたりで争い、漏れた国が最終予選にまわって来ることも考えられます。
ところが、ここにももう一つのカラクリが!世界最終予選はなぜか8カ国しか参加できず、その中でアジア・オセアニアの出場枠は日本を含む4国(2000年は3国だったので1国増えている)と決められているのです。つまり、今回は8カ国の中に日本より格下の国が必ず3国以上含まれるわけで、その条件の下で「8か国中4位」に入れば自動的に切符が取れるのです。
では、この8カ国をどうやって選んでいるのか?これについては、はっきりとした説明がありません(ご存知の方がおられれば教えてください)。日本が予選落ちした2000年(アジアが3国でアフリカは無し)と、次の2004年(アジアが4国でアフリカが1国)とでルールが変わっているようにも見受けられ、このあたりにもカラクリがある、というより、ほとんど恣意的なのかもしれません。
ここまでで、「日本は北京五輪へ99.9%いける」と断言できるわけをわかっていただけたでしょうか。竹下や高橋が「五輪に出る、という目標は嫌なんです。それだけじゃないんで」というのは、この辺のことを意識しているのかも。
ところが!これだけじゃないんですねー。国際バレーボール連盟はもっとすごい技を使ったことがあります。
1996年のアトランタ五輪当時、ロシアは新興勢力の台頭に弾かれ、ヨーロッパで予選落ちしてしまいます。その際、連盟はロシアをなんと「アフリカ大陸予選」に出場させ、そこで優勝させて五輪へ出したのです。当時の連盟はこれを「アフリカと他の地域ではレベル差が違いすぎるため」と言い訳をしています。
このとき、アフリカでは、ケニアが”アフリカからの五輪初出場”を目指してがんばっていました。率いていたのはあの菅原貞敬監督です。大陸予選で優勝して五輪へ!を合言葉にやってきたところに、突然、ロシアが降ってきて出場権をかっさらっていってしまったのです。菅原監督はこの点に激しく抗議し、世界中のマスコミの取材にも応じたそうですが、フジ、TBSをはじめとする日本の”バレーマスコミ”は黙殺同然の扱いをして”無かったこと”にしてしまったのです。
つまり、連盟はどんな手を使ってでも”常連国”の確保をしてみせるとんでもない組織なのです。
ではなぜ、日本は2000年シドニーに落ちたのか?再建途上の中国がW杯で漏れてまわってきた、世代交代前の韓国が日本より強かった、アジア以外の出場国がヨーロッパ3、北中米1、南米1だった(つまり、日中韓以外のアジア、アフリカがいなかった)、そして最大の理由は「前回のロシアと同じ手はもう使えない」ことによるものだったのです。決して全日本女子が今より弱かったわけではありません(←皮肉です)。
ここまで書いて手が痛くなったのでもうやめますが、そんなわけで、日本女子は北京五輪へ行けます(と、言い切ってしまおう)。ちなみに男子は女子と方法がちがってややこしいのですが、結論だけ言えば、世界最終予選1位かアジア・オセアニアで1位にならなければ出られません。
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北京五輪世界最終予選の出場国は以下の8カ国 日本 韓国 タイ カザフスタン セルビア ポーランド ドミニカ共和国 プエルトリコ で、この中で上位4位になれば北京当確ということで、ほぼ出場は固い。昨年のワールドカップで「絶対に負けられない戦い」とか言って負けて落胆







めっちゃ解り易い解説ありがとうございました。
なるほど、そーゆうカラクリがあるんですね。( ̄∧ ̄)(_ _)フムフム・・・
by 仔馬 (2007-11-10 04:22)
>仔馬さん、NHKが「W杯3位以内は非常に厳しい」とニュースで流したので、もう書いてもいいかなと思ってアップしました(笑)。今までも記事のあちこちに潜ませて書いてたんですが。まーそれにしても、必要は発明の母といいますか(違)、いろいろ思いつくもんですねえ。
by rio (2007-11-10 04:53)
するどさと、思わず言ってしまうあたり、私と同じ(失礼)で人生損する機会がどっちかというと多いかもしれませんね(^^)
だいたい同じ意見ですが、心配なのは、カザフスタンで欧州勢にぽろっと1勝(2勝は考えたくない)していけないってパターンですよね。
by おじさん (2007-11-10 11:51)
今回、韓国がキム・ヨンギョンの復活で、再び日本のレベルに近づいてきたことと、タイやカザフスタンという今後日本を脅かすであろう存在が力をつけてきて、私は簡単にはアジア1位で五輪出場権を取れないだろう・・・と心配になっていた矢先でしたので、今回これを見てそうゆうことなのかと安心しました。4位以内でいいんですね。
いつも分かりやすい説明をありがとうございます。
アジア4枠ということは(日本、韓国、タイ、カザフ)あたりになりそうですが、残りの4枠は、まだ分からないんですよね?全然わからないのですが、ヨーロッパ2、北中米1、南米1とかでしょうか?(アフリカ枠が入ればヨーロッパ1ということも?)
ヨーロッパ1~2枠だとして、日本より強い国が来ることが予想されますが(ドイツ、ポーランドあたり)、残りの2~3枠(ケニア、ペルー、ドミニカあたりでしょうか?)は勝ちが十分に期待できそうですので、よほどのことがない限り4位に入れるでしょうね。
とにかく、日本が現段階でアジア1位ということもあり、アジアの中では一番切符を取りやすい位置にはいますよね。これで取れないともう日本も終わりというくらい有利な感じですね。
by コウ (2007-11-10 14:05)
>おじさん、コメントありがとうございます。
テレビ局の煽りにのって、W杯で落胆→世界最終予選で歓喜、ってのはもうおなかいっぱいです。
カザフがどこに勝とうと、日本が4位に入ればいいわけですから。というより、そもそもカザフを呼ぶかどうかすらわかりません。
W杯で日本が切符をとると、世界最終予選を日本で開く意味がなくなるという「大問題」があり、むしろそっちを見てみたいものです(笑)。
>コウさん、コメントありがとうございます。
2004年を踏襲すれば、日本以外のアジア3枠、アフリカ1枠、ヨーロッパ2枠、北中南米で1枠、ですね。
なので、韓国、タイ、台湾かカザフ、ケニア以外のアフリカ(←ケニアは大陸予選で切符を取ると思うので)、ヨーロッパ2国、ペルーかドミニカ、といった面子ではないかと思われます。
いずれにしても、日本にとってW杯は「胸を借りる試合」、本番は世界最終予選です。
by rio (2007-11-10 17:56)
rioさん はじめまして いつも楽しく拝見させていただいております。
早速で恐縮ですが質問させてください。
女子が北京に出場するのはほぼ確定的だと分かりホッとしましたが、男子はどうでしょう?
世界最終予選1位またはアジア・オセアニア1位にならないとダメとのことですが、現段階では出場できる可能性はどのくらいありますか?
どこかで「男子の北京出場はほぼ絶望的」とあったのですが、そうなんでしょうか?rioさんの見通しをお聞かせいただけたら幸いです。
by しょうちゃん (2007-11-11 13:48)
>しょうちゃん、男子も若干アジアに有利になっていますが、日本男子はそう簡単ではありません。
男子は
開催国、W杯3位以内、各大陸予選(アジア・オセアニア除く)1位で合計8枠が決まります。
次に、世界最終予選には12国が出場し、総当りリーグで対戦します。ただ、4国ずつ3グループ(3会場)に分け、東京会場のグループだけは日本を含むアジア・オセアニア4国を加えて、大陸予選を兼ねるのです。
つまり、他の2グループは4国のリーグで優勝のみ、東京会場はアジア・オセアニアを含む8国のリーグで優勝した国とアジア・オセアニアの中で最上位が切符を取ります。
この3つのグループ分けをどうするか、アジア・オセアニアの日本以外の3国をどう選ぶかについてはこれまたはっきりせず、この辺にカラクリが潜んでいると思います。
また、スポーツナビではなぜか「トーナメント」で対戦すると説明されていて、謎の部分もあります。
しかし、それ以上に大きな問題なのは日本男子の選手たちの意識です。
今年のアジア選手権で優勝がかかったタイ戦に惨敗し、2位に終わりました。石島はその試合を振り返って「やる気が無くなって勝ち負けはどうでもよくなっていた」といった趣旨のコメントをしています。
アスリートとしてちょっと信じがたい発言ですが、これがここ10年ぐらいの全日本男子の現状だと思います。チーム内の人間関係に左右されて、チームワークが育たず、自滅するというパターンを繰り返しているのでは。
選手たちが本当に五輪に行きたいと思っているのか(行けると信じて諦めずにがんばっているのか)、そこにかかっているのではないでしょうか。
by rio (2007-11-11 20:33)
rioさん ご返答ありがとうございます。
「実力的には決して行けないわけではない」と受け取りました。
男子の開幕も楽しみになってきました。
by しょうちゃん (2007-11-14 01:10)
>しょうちゃんさん、実力的には、アジア・オセアニア勢は紙一重ですから。ライバルの中国が開催国枠なので、チャンスであることは確かです。W杯で強豪国の胸を借りて自信をつけてほしいです。
by rio (2007-11-14 04:48)
勝手ながら補足させていただきます。
FIVBはオリンピックの大陸予選は4ヶ国以上の参加で成り立つとしています。前回はアフリカは4ヶ国の参加があったのですが南米は3ヶ国の参加しかなく北中米予選で負けたドミニカ共和国を南米予選に回しドミニカが出場権を取りました。南米予選2位のアルゼンチンは最終予選の権利があったのですが協会の財政難により辞退したためケニアに枠が回ってきました。
当時のドミニカは結構強かったので日本が負ける可能性もあり、最終予選に来なかったのはラッキーでした。 今回の最終予選はアジア4、ヨーロッパ2、北米1、南米かアフリカ1で世界ランク順に選ばれることが決まっているみたいです
気になるのはブラジルが北京を決めたので南米予選が4ヶ国に満たなかった場合どの国を南米に回すかですね。北中米予選はキューバが勝つとおもいますがドミニカは4年前より世界ランクを下げているのでヨーロッパの国を南米に回すかもしれません。
by ゴンタ (2007-11-17 15:38)
>ゴンタさん、貴重な情報をありがとうございます。
そういう仕組みでしたか。「財政難」と「世界ランク」を組み合わせればどんなことでもできる、という印象を受けました。
バレーの普及を口実に国際大会を乱立させて放映権収入を得ているFIVBの方針と、一部協会の「財政難」とは矛盾しますよね。例えば、アルゼンチンなんかは、男子は国際大会の常連なのに女子に限って「財政難」なんでしょうか…。連盟会長はスペイン人なので、連盟内の取り巻きは南米各国だそうです。この辺の力学が作用しているのかも。
もう一点、世界ランクがいい加減なものであることは周知です。ランキングに使われる国際大会のうちほとんどが日本開催ですから、日本は常に実力以上の位置にランクインしています。一方、今回のW杯のように、ロシア女子やイタリア男子が出場できないということがよくあるため、ポイントが稼げず、不当にランクが下がります。
つまり、オリンピックを頂点として4年計画でこの2つを組み合わせれば、どんなマッチングも可能、ということになると思います。2000年シドニーに落ちたのは、韓国が予想外に強く、中国が予想外に弱かったためで、さすがにそこまでは「計算」できなかった、ということでしょうか。
by rio (2007-11-18 03:53)
ちょっとニュアンスが違って伝わっているようなので
アルゼンチンは国自体が不景気らしく大変なようですよ。
女子は日本までわざわさ行っても出場権を獲得する可能性はゼロに等しいのでということもあったようです。
ここからは想像ですが弱い女子にお金をかけるならメダルの可能性のある男子を強化するという協会の判断だとおもいます。(03ワールドカップは女子も参加しています)これはどのスポーツの協会でもこういった判断や強化の仕方はよくあることだと思います。男子のカザフスタンも同様の理由でアテネの最終予選を辞退しています。日本の水連もリレーの出場権を持っていても決勝に残る可能性がないとの理由で辞退したこともあります。
ロシアがワールドカップのワイルドカードをもらえなかったのは確かに?なのですが。ヨーロッパ選手権の直前に行われた来年のワールドグランプリのヨーロッパ予選で負けたあと選手からオリンピックの直前に暑いアジアで試合をしても疲れるだけだ。あんな大会出たくないといった発言があり、わざと負けたんじゃという噂がでたくらいです。こういった批判がFIVBを怒らせたという話も飛び交っています。それ以上に?なのが男子のスペインのワイルドカードなのですが。あと男子のイタリアは今年日本にもまけてますしね。ヨーロッパ選手権も良くなかったし
by ゴンタ (2007-11-18 14:14)
>ゴンタさん、詳しいご説明ありがとうございます。アルゼンチン女子の前回の件は新聞報道で読んだ記憶があるのですが、FIVBが「必要」と判断してればカネを出してでも参加させてると思うんですよね。前回の女子世界最終予選のナイジェリアみたいに。。。
ロシアは男女とも3大大会以外は”潜伏”することがありますよね。だからといってW杯に参加させないってのはどうかと思います。
男子のワイルドカードはブルガリアと韓国ですよね。スペインは実力で出てきたんですよ。過去記事で書いたのですが、ブルガリアは妥当ですが、イタリアじゃなくて韓国なのはおかしいと思います。イタリアと韓国はWLで同順位ですから、世界ランク順に出るべきですよね。
by rio (2007-11-19 01:26)
まあ、制度上はそうなんですが、
これで勝ち抜いたところで五輪でブラジルや中国やイタリアに
ボッコボコにされるのはわかっていますからね・・・
OQTを頼りにせずとも勝ち抜けるチームをつくるべきだと思いますが。
それには長いスパンで取り組まなきゃだめでしょうけどね、12年くらいとか。
by 通りすがり (2007-11-20 00:42)
>通りすがりさん、五輪は出られればいいんだと思いますよ、協会的には。国際映像なのでバレー単独の”利権”が転がってるわけじゃないですから。
なんせ、日本がW杯で負けることを前提に、W杯の何ヶ月も前から、世界最終予選の日本開催(女子は単独、男子は一部)が決まってますから。
by rio (2007-11-20 00:53)
(訂正)上記コメントで、アコスタFIVB会長を「スペイン人」としていますが「スペイン系」の間違いです。すみません。かれはメキシコ人です。
by rio (2008-05-21 06:22)