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雑誌『日本女子バレーコンプリートガイド』 [バレーボール]

amazonから本日届き、いま読み終えました。こちら↓です。一読して、フジテレビの三宅アナが実況で使っているコメントは、ここからいくつかネタを拾ったんだなあということまでわかってしまいました(笑)。

日本女子バレーコンプリートガイ (JTBのMOOK)

日本女子バレーコンプリートガイ ド(JTBのMOOK)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ジェイティビィパブリッシング
  • 発売日: 2007/10/26
  • メディア: 大型本

バレーボール記事の師匠(←と勝手に決めた)のブログで紹介されていて即購入。バラエティ的、アイドル的にバレーを扱う諸マスコミとは一線を画し、全日本女子、プレミアリーグ女子の現状がわかりやすくレポートされています。MOOKとしては妥当な1050円。版元が「JTB出版」なのは、JTB本体から切り離されて(独立採算化)”旅”だけでは食っていけないからだろうか、廃部が相次いだ女子バレーに相通じるものを感じたのだろうか、などと妄想してしまいました(笑)。

編集をされた中西美雁さんがブログで書かれていたこだわりがよく伝わる出来でした。まず、写真がいい。巻頭に高橋のインタビューがあり、そのメイン写真は特に素晴らしいですね。高橋ファンの方は、この1枚を見るためだけに買っても元がとれると思います(笑)。演劇人や漫画家の方は、役作りや創作活動の上でも必見です。あ、もちろんプロアマ問わず写真家の方も。成田(イク)の写真も掲載されている写真のほうがいいと思います(←意味を知りたい方は中西さんのブログへどうぞ)。

次に、インタビュー記事の質が高い(栗原の記事を除く←後述)。一見、選手の言葉に素直にそっているようで、言いっぱなしにさせていない。これって実はかなり技術がいるんですね。インタビュー対象への強い思い入れと、突き放す冷徹さを両立させなければ成功しない。そうでなければ、ただの「広告」になってしまうから。しかも、インタビューが成功しても、それが「インタビュー記事」として成功するとは限りません。文章能力はもちろん、過不足ない字数設定、写真やその他コンテンツとの兼ね合い、話題性と時機などなどいろいろな要素が絡んでくる。そういう意味で、このMOOKは「インタビュー記事」として成功している好例です。

個人的には、高橋、杉山、大山の記事が特に印象に残りました。セッターがキャプテンってのはきついし、竹下の次は杉山をキャプテンにするってのも面白いかも。そういえば、なんで竹下のインタビューだけ無いんでしょうか。「コンプリート(complete)=完全」と名づけるからには竹下は必須、ということは編集サイドでも百も承知なはず。どんな事情があったのかなあ。

大山は「月刊バレーボール」の取材とほぼ同じことを答えています。真面目で率直。小学生のころからトップであり続けたゆえの”燃え尽き”。今回の全日本入りについてあちこちのブログで猛批判が起きているようですが、個人的にはここで吹っ切れて欲しいと思ってます。

世界の監督・選手が日本チームを語るコーナーでは、ブラジル監督の「大友がいないのは痛い損失」の言葉に激しく同感。センターもサイドもできてレシーブ力もある大友は柳本構想の要だった。サイドを栗原、木村、大山、大友から選び、高橋がスーパーサブ、という使い方ができたはず。戻ってこないかなあ。それと、全日本の元セッターに聞くコーナーで中西を選んだセンスにも拍手。中西が日本男子のセッター阿部を評価していることにも激しく同感です。

さて、栗原のインタビュー記事です。
これだけはまったく評価できません。この記事だけ「上田哲生」という署名入りで、「彼女の言葉、彼女を取り巻くバレーメディアとの関係性から、栗原恵というバレー選手が持つ意義を分析したい」とぶち上げ、他の記事とトーンが違うんですね。しかも、それに成功しているとはお世辞にも言い難い。

リスクを承知で、この記事を一言で評価すると「下品」。マスコミ志望の学生が書いたのならまだしも、プロの手によるものとしては欠点ばかりが目立つ記事です。そのせいで、MOOKの全体構成の中でも完全に浮いてしまっている。記事中の見出しと内容を比べれば、そのずれの大きさがうかがえます。なんで編集者はこういう路線の記事を採用したんだろう。

記事からは、筆者が「中田英寿を尊敬する栗原恵」を嫌い、見下していることが容易に伝わってきます。栗原に対する”負の思い入れ”が強すぎた結果、栗原を不当に貶める比喩と、自己保身のための修飾過多・カタカナ乱用の文章に走ってしまっています。以下はその一部。

<不適切な比喩の例>
・「知的でクールな私」を演出したい、背伸びしたいお年頃の可愛いらしい23歳
・話題に事欠かないじゃじゃ馬なお姫様
・主に男性メディア関係者の心を騒がせる(中略)罪つくりな存在

<修飾過多の例>
・中田英寿といえば(中略)国内メディアとのセンシティブな関係と裏腹な海外メディアへの態度などで、賛否かまびすしいアスリートである。
※「センシティブ(sensitive)」は「感度がいい」「繊細」という意味。そこから「傷つきやすいほどに繊細」という意味も持つけれど、この文脈で使うのはおかしい。カタカナを使うなら「ナーバス(nervous)」でしょう。
・アスリートにとって「注目されること」は(中略)甘美なネクタリスであり、モチベーションとなる
※「ネクタリス」ってなに?ググッてもゲームの名前しか出てこない。読者の何人がこの意味をわかるんだろう。
・バレーボールはチーム競技であるから、いろいろな役割の選手が、それぞれの個性を生かしたマリアージュを奏でるべき
※「マリアージュ(mariage)」はフランス語で「結婚」。転じて料理とワインの組み合わせも意味する、だそうです。

一事が万事、この調子なのです。批判する対象は栗原を取り巻くメディアであるのに(多少、触れられてはいるものの)、記事の大半は栗原への個人攻撃に割かれています。インタビュー中に撮ったのでしょうか、記事の最後にそえられている栗原の仏頂面の写真が印象的。筆者が取材中の栗原の態度に何かしら不快なものを感じ、その憂さを記事で晴らしたと思わざるをえません。

長々と批判しましたが、この記事1本と竹下のインタビューが無いことを除けば、他は一読に値するいい記事、データ、写真ばかりです。たぶん、それほど多く刷ってないでしょうから、興味のある方は早めに注文されるのがよいと思います。


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コメント 4

調べ屋

はじめまして。
記事中のネクタリスとは恐らくこちらの事でしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ネクタリス代

本来は月の形成期を指すギリシャ語から派生し、"ネクタリス"には神々の飲料と言う意味もあるようです。

いずれにしても上田哲生氏は下品な使い方をしているライターですね。
by 調べ屋 (2007-11-06 01:45) 

rio

>調べ屋さん、貴重な情報をありがとうございます。

甘美な神々の飲料ですか、なるほど。ハドソンの商標の「ネクタリス」しか見つけられず、なんじゃこりゃ?と思っておりました。

兎にも角にも、栗原への個人攻撃には魂消ました。私は中田英寿、イチロー、キムタクといったタイプのスポーツ選手や芸能人が嫌いなので、そこはもしかしたら上田さん(どんな方か存じませんが)と一致するのかもしれません。ただ、ガイド本にこの記事はないだろう、と。

他が本当に素晴らしいだけに、もったいないですね。
by rio (2007-11-06 02:29) 

madoka

今度本屋さんに行ったら買おう、と思い続けているのですが、天気が…とか、頭痛が…とか、鼻炎が…とかなんだかんだ理由をつけて家に引きこもってるスーパーウルトラ出不精女なので、私もネット注文することにします(^_^;)
いやー、楽しみにしてたんですよ。でもrioさんがそこまで絶賛する(そしてけなす)となると、相当面白そうですねえ!
ちなみに私は、成田選手の写真は、美雁さんが推していた方のやつが好きです(笑)。
上田某の記事は、内容がどうこうと言う前に、言葉のセンスが気持ち悪っ!!引用を読んだだけで、「生理的に受け付けないタイプ」と確信しました。でも、読むの楽しみ♪「気持ち悪いもの見たさ」ってヤツですね(^^)
甘美なネクタリス…マリアージュを奏でる……私もいつか是非使ってみたいもんです(←ウソ)。
by madoka (2007-11-06 21:37) 

rio

>madokaさん、本屋さんには置いてないような気がします。それがバレー雑誌の宿命かも(笑)。

成田のインタビューも面白いですよ。ちょっとした謎もあって。写真は女性と男性で感覚が違うんですね。

全体構成としては、ワールドカップのページに白黒を割り当て、その分、プレミアリーグのページでカラーを使っていることが印象的です。ここが編集者のこだわりですね。

上田哲生という方の文章、パロディにしたくなりますね(笑)。
by rio (2007-11-07 00:20) 

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